当院は中医学をベースに治療を行っていますので、一応中医学にも少しだけ触れておきます。

 

中医学は、「天人合一思想」(簡単にいうと人間も自然の一部であり、人間の体にも自然と同じ法則があるというようなこと)をもとに、陰陽・五行論(木・火・土・金・水)に五臓六腑や人体の構成要素”気・血・津液(血以外の体の中の水分)をあてはめて理論付け、体系立てられています。このように、一つに体系化されているのが中医学の特徴です。

 

一般の方は、鍼をツボに打つだけなのに何が違うんだ。頭が痛ければ、頭痛のツボに、腰が痛ければ腰痛のツボに鍼を打てばいいだけだろうと思われるかもしれません。

 

しかし、決まったツボに鍼を打てばいいだけなら鍼灸師にとってこんな楽なことはないのですが、実は頭痛のツボ、腰痛のツボといったツボは無いのです。(よく使われるツボというのはありますが)

 

ツボは”経絡”という”気”の通り路上にあり、様々な作用を持っています。そして経絡は、それぞれが五臓六腑に属しています。

 

鍼灸師は、痛みの場所や性質などから症状にあう作用を持ったツボを選んで鍼を打っていきます。医師が、薬を処方するのに似ています。

 

中医学では、このツボを選ぶのに先ほどの理論をもとに”望診”、”聞診”、”問診”、”切診”の四つの診察方法で患者さんの体を診ていきます。

 

診察の結果から、どのツボを選ぶかは鍼灸師によって多少違うかもしれませんが、治療は選んだツボを使って体の足りないもの(気、血、津液など)を補い、溢れているものを流して体のバランスを整えていきます。

 

現代医学的には自律神経、中医学的には陰陽と表現の違いはあるにせよ、バランスを整えるという点では現代医学的な考え方も中医学的な考え方も鍼治療においては一緒です。

 

現代医学と中医学の大きな違いは、現代医学では局所で診ていくのに対し中医学では、天人合一の思想が根本にありますから体全体を一つとして診るということです。